結成20周年ツアー最終日が一般で30枚しか売れてなかったバンド

 

 

 

1015年前ぐらい前、邦楽ロックのちょっと暗い(エモいではなく、暗い)やつが好きだった。ART-SCHOOLとかSyrup16gとかTHE BACK HORNとかそういうのを聴いては「ひとりだな~」って絶望する思春期。最近もどこかにそういう暗いバンドがいるんだと思うんだけど、詳しくは知らない。当時の私にとってはつらくて悲しくて孤独な音楽は特別で、救いだった。

 

 

こないだTwitterで懐かしいバンドの名前を見かけた。

 

ランクヘッド

 

思春期の頃よく聞いてたし、1回ライブに行ったこともある。さびしさに戦っている、はかない音楽だったイメージ。なにかと思ったら、20周年ツアーですって。当時、若くてCMタイアップとかやってたランクヘッド20周年かあ。懐かしいなあと思っていたら、びっくりした。

 

lineblog.me

 

ボーカルの小高さんがLINE BLOGに綴った内容は、思春期の私が読んだらひっくり返りそうなぐらい辛辣だった。

 

LUNKHEAD結成20年
何もおめでたくはない。
めでたいなんて言ってられる状況じゃ全然ない。
崖っぷちで風が吹いたら落っこちて死ぬような状態でめでたいなんて言ってられない。

 

正直ここまで動員が落ちていくと思っていなかった。
今が耐え時だよと言われても
どんなに頑張っても状況は悪くなる一方で
最近はイベンターにも匙を投げられつつあって
極め付けは
これは言わんでもいいことだけど
本当にそうなったらどうせわかることだから敢えて書くけど
昨日事務所で
このままだと直球はあと1年持たないと言われた。
直球が終わった時、
俺らはどうするのだろうか。

 

まじかよランクヘッド

 

20周年のツアーは新しいアルバム「plusequal」を提げて回ってるらしい。すごくいい出来だから聞いてほしい、と書いてあったのでSpotify開いてみたけど配信されてなかった。正直にいえば、そりゃあ厳しいんじゃないかって思っちゃった。配信しようぜ。

 

 

でも思春期の私を救ってくれたバンドなので、20周年はお祝いしたい。すぐチケット買って、「サブスク解禁して!!」ってツイートした。昔のはあったけどそのアルバム配信してなかったので。

 

 

 

そしたら小高さんがイイネしてくれて、その後のブログでサブスク間に合うように頑張るって書いてくれてた。

 

ちゃんと配信やサブスクリクションの対応をするように誓います。
全然やれることあったな…
そりゃ、通りすがりの人に
ファンを不安で煽るだけで対策を練ってないって言われるわ…

LUNKHEAD 公式ブログ - LIQUIDROOMを売り切りたい② おだか - Powered by LINE

 

よく、ロックバンドは数字じゃない、というけれど
動員気にするバンドはかっこ悪いと聞くけれど
数字じゃないなんて当たり前で
たとえ1人だろうが満員だろうが
全力でやるに決まってる
そんなの当たり前でやってきた。
そんなの当たり前で、だからこそ売り切りたいんだよ。

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ぶっちゃけてぶっちゃけると
(ここまでぶっちゃけといてまだあるんかい…的な)
3月からの一般発売の時点で
ファンクラブ先行で180ぐらい売れてて
そこから約3か月
ブログを書いた6月の頭の時点で
一般ではなんと30枚しかチケットが売れてませんでした。

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「チケットが少しずつ売れていく」とブログにあがるのは、とても嬉しかったし、感動的だった。小高さんの文章はめちゃくちゃ素直で、たしかにこういう素直な感じの歌詞が好きだったな~と思い出した。

 

こんな生きてても無価値な人生
コロッと死ねて全部捨てられたらいいのに、とは思いました。正直。
両親も元気だし
貯金もまあまああるし、生命保険とか積み立ててるお金とかあるから
俺が今死んでもまあ子供は何とか大学までは行かせられるだろうし

LUNKHEAD 公式ブログ - LIQUIDROOMを売り切りたい⑤ おだか - Powered by LINE

 

 

で、ファイナル4日前の715日、売り切れたんだって。

 

この1ヶ月
本当に、チケットが売れていく以上に
LUNKHEADを好いてくれるみんなが
アクションを起こしてくれて

見たくないものもたくさん見せてしまったし
嫌な気持ちにもたくさんさせてしまった。

LUNKHEAD 公式ブログ - LIQUIDROOMが売り切れた おだか - Powered by LINE

 

私みたいに「昔よく聞いてたな〜〜よし、20周年お祝いしにいくか!」みたいなノリの人もいるかもしれないけど、このソールドアウトはずっとランクヘッドを応援していた人たちの愛そのものだなあと思った。そういう劇的な瞬間に立ち会えるのはとても嬉しいし、久々に曲を聞きに行くのは素直に楽しみ。

 

 

 

この一連の流れは、しかしまあ、けっこう怖いなあと思った。

 

 

自分の好きだった音楽が老いるのは怖い。

 

 

あのとき私が聞きまくってた暗い邦楽ロックって、確かにもうバチバチにやってる印象ない。どこかで活動しているのかもしれないけど、耳に入ってこない。能動的に情報追いかけてて毎年ツアー行くバンドもGRAPEVINEくらいだしなあ。

 

こないだアジカンの後藤さんも「当日券ある」ってツイートしててびっくりしちゃった。

 

 

 

音楽が変わらなくても聞き手が変わってしまうこともある。音楽を変えたらずっといたファンが離れてしまうかもしれない(らしさ、を失うかもしれない)。新しいものはわんさか出てくるし。新鮮でなく、若くもない中で、世間に愛される方法なんてわからないよ。

 

 

ちょっと話ずれちゃうけど、フラワーカンパニーズは平成元年に結成して、解散・脱退・活動休止を一度もしなかったんだって。30年ファンでいることも、30年変わらずにいつづけることも、途方もない愛だなと思う。

 

 

 

ランクヘッドも、そういう途方もない愛でこれからも包まれたらいいなあ。19日のファイナル、楽しみです。新しいアルバムも無事にサブスク配信されてたから聞く。