すこし早めのただいま

3月から8月末にかけて、生まれ育った国を端から端まで巡りました。
縁もゆかりも無い街々を見ていると、住んでみたらどうなるんだろうという気持ちになり。
お酒の勉強をしたかったわたしは、流れ流れて、愛媛県松山市のBARで働かせてもらうことになりました。

当初半年間の予定でした、が。
諸事情により、年末を最後に横浜・東京へ帰ることにしました。

喧嘩別れではなく、嫌いになったわけでもありません。
ただすこし、うまくいかないことが重なったりしたのです。

お酒の世界は深くて広くて底抜け。
ビールやらワインやらウイスキーやらラムやらテキーラやらブランデーやらシェリーやらカクテルやらなんやらかんやら、触れてきました。
毎晩いろんなことを教えてくれたマスターは、「これから続くお酒との付き合いにおいて、扉を提供しているだけ」と。数え切れない入り口をいただきました。

お酒だけじゃなくて。
バーテンダーとしての接客、街の文化、お店に関わるコミュニティ、社会、ひとびと。知らない街で働き生活すること。
もう、吸い込みきれないほどでした。とてもたのしかった。

昨晩、1番仲良くしてくれていた会社員の常連さんから、餞別に本を頂きました。
「楽しい時間をありがとう」って。

もうぼろぼろ泣いてしまって。
短い間だったけど、わたしはきちんとここに社会を作ってこれたんだなあ。
たくさんの常連さんにさよならを言えないまま去るのですが、さびしさ半分、言わずに済むというふがいなさ半分です。

すこし早めのただいま。
帰ったらひとまず少し休もうと思っていたところ、またなんか、あるみたいです、日々が。
ぼちぼち、会いたいみなさま、会いましょう。東京の美味しいところ、たくさん教えてもらったから。