人生に座右の銘はいらない

劇団・大人計画の座長、松尾スズキさんの新著「人生に座右の銘はいらない」。自身のメルマガでやっていた人生相談をまとめたもので、松尾さんらしい軽妙な受け答えがとても面白かった。あんなことやこんなこと、いやいやそんなことも聞いちゃう?なんていう赤裸裸すぎる読者からの投稿もまた、心をくすぐる。あなたもわたしも自意識や隣の誰かと戦っているのね、と何の解決にもならない共感で救われたり。松尾さんの著書はいくつか読んでいて、劇団の公演に行ったことはないのだけれど、所属俳優および俳優さんたちが出ている作品はとても好きだ。

1番好きだったのは、「自信がなくて自分の望む道に進めない」という相談に対する答えだった。

—— 「うまくイケてる」というイメージを死ぬまでつかみ損ない続ける、というのが生きるということなのかもしれません。その人その人のスケールの中で、みな、あがいてるんですよ、きっと。(中略)無理して上を目指さなくても、あなたの個性である、消極性という名のスケールの中で楽しみを見つければいいんじゃないですか?

これもすごく好き。

「生きる目的や生きる意味が見つからず、日々悶々としています」

—— 私にもないです。よく言うのですが、私は動物のように生きたいと思っています。そこに自分の命があるから、それにしがみついているだけです。(中略)ただ、命は長すぎます。敵は「退屈」です。だから退屈を埋める何かを必死で探してください。死に物狂いで暇をつぶすこと。俺は、それが人生だと思っていま す。

人生相談じゃないけど、これも良い。

「震災からもうすぐ2年です。松尾さんから見て、日本はその後、どう変わりましたか?

——少し前までは「永遠に続く日常」への不安、といったものが取りざたされていましたが、今は、「明日がマジでわからない」といった混沌の中に日本人は放り出されているような気もします。

一貫しているのは、松尾さんの「動物目線」な生き方。

家の外に出なければ放射能や公害の危機、人とのいざこざに巻き込まれないのに、人は外出したがる。外出は「うきうき」するから。そこには精子目線があって、その精子のモチベーションこそがトラブルの源なのだ。(あとがきを抜粋してちょっと切り貼り)

他にも、表現や恋愛のことについて色々書かれている。東京という土地に思い悩む読者がたくさんいたのも印象的だった。そもそも松尾さんらしさが好きじゃないと読めないかもしれないけれど、おすすめ。

 

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