錦糸町に秘密はない

なぜだか「錦糸町で飲もう」ということになった。私以外の2人にとって都合の良い駅だったみたいだ。参加メンバーの男の子と女の子と私は同級生だ。
とは言えアクセスが良かっただけで、2人もお店に詳しいわけではない。仕方ないので適当なお店で鍋をつつこう、とお決まりの流れになった。

学生らしく主に恋愛の話や就職の話をしたと思う。不定期に予定が合えば遊ぼうか、などというゆるい関係性だし、取り繕いすぎる必要もなく深追いする義理もなく、心地良い夜だった。

それからずっと後に女の子から誘いを受けて赴いたとき、「間違えちゃったの」と事後報告を受けた。錦糸町の夜が過ぎて、また違う夜の違う街で彼と会ったという。そして間違えた。おやおやそれはそれは、大変だねと、神楽坂の居酒屋で話を聞く。
錦糸町の夜はもう戻って来ないな、と思う。